
私たちは、かつてないパンデミックを経験し、日常の何気ない「手洗い」が、いかに自分と大切な人のいのちを守るための強力な手段であるかを痛感しました。しかし、なぜ手を洗うのかという理由を、私たちはどこまで深く知っているでしょうか? 「いのちをつなぐ学校」では言われたから洗う習慣としてではなく、歴史に基づいた科学的な知恵としての手洗いの大切さをぜひ知って欲しいと思っています。そこで10月15日の「世界手洗いの日」に合わせ、これまで公開してきたコンテンツを使って手洗いの歴史、ウイルスの正体、そして世界の現状を多角的に学ぶ「特別授業」をお届けします。
【Lesson 1:歴史に学ぶ —— 衛生概念の夜明け】
フクオカハカセのセンスオブワンダー:第6話
「手洗いのはじまり」
19世紀のウィーンで、産科病棟の母親たちの死亡率を下げるために「目に見えない汚染物質」の存在を直感したイグナーツ・ゼンメルヴァイス。当時は細菌という概念すらありませんでしたが、彼は科学的な観察を通じて、医師の手が病気を運んでいる事実に辿り着き、塩素水での手洗いを提唱し、多くの命を救いました。科学的な観察から導き出されたこの発見は、現代の公衆衛生の原点です。正しい知識がない時代に、勇気を持って衛生の重要性を説いた彼の功績は、パンデミック対策の原点と言えるでしょう。
フクオカハカセのセンスオブワンダー:第7話
「病原体をつきとめる」
ゼンメルヴァイスの直感を、科学的な証明へと昇華させたコッホやパスツール。彼らは特定の病気が特定の微生物によって引き起こされることを突き止め、医学に革命をもたらしました。なぜ病気になるのかという問いに対し、目に見えない敵の正体を論理的に解き明かしていくプロセスは、科学の心を育むきっかけになるかもしれません。
フクオカハカセのセンスオブワンダー:第14話
「近代日本医学の父」
この動画では日本の科学者の活躍を紹介します。新千円札の顔、北里柴三郎博士はペスト菌の発見や破傷風の治療法開発など感染症予防に生涯を捧げ、現代の公衆衛生の礎を築きました。こうした先人たちが築き上げた研究の成果は、今この瞬間も私たちの健康を支えています。彼らの志や発見の歴史を学ぶことで、日々の衛生習慣が、長い年月をかけて繋がれてきた尊いバトンであることを実感できるのではないでしょうか。
【Lesson 2:見えない世界を知る —— ミクロの正体を科学する】
探究!いのちのフシギ部 第1話
「ウイルスの大きさ」
この動画は目に見えないほど小さなウイルスの正体がテーマです。ウイルスは細菌よりもずっと小さく、普通の顕微鏡ではなかなか見えない相手。だからこそ、手肌のシワや爪の間までしっかり洗う必要があるんですね。この動画を見れば、これまでただの習慣だった手洗いへの認識が、論理的な裏付けを持ったいのちを守る方法へと変わるかもしれません。ウイルスの数をテーマにした第2話「エイくんのクイズ」もぜひご覧ください(「探究!いのちのフシギ部」は小学生の視聴者を想定してつくられています)。
フクオカハカセのセンスオブワンダー:第4話
「ウイルスは悪いやつ?」
ウイルスを「悪者」や「外来の敵」と決めつけるのではなく、生命の視点から捉え直します。発熱や炎症といった症状の多くはウイルス自身が引き起こすのではなく、異物を感知した自分自身の免疫システムが反応した結果として現れます。ウイルスは自ら動くことはできず、私たちの行動によって運ばれ、細胞の資材を借りて複製されているに過ぎません。先入観に基づいた物の見方をあらため、科学的に知ることで、病気や生命現象を敵味方で区別して理解するものではなく、ひとつのシステムとして捉え直すことができます。
【Lesson 3:実践する —— いのちを守る】
スペシャルムービー:
「せっけんできちんと正しい手洗い」
この動画では石けんを使ってウイルスを効果的に取り除くための正しい手順を具体的に指導しています。手のひらだけでなく、指先、指の間、手首など、ウイルスが残りやすい箇所を着実にカバーする手順がマスターできます。日々の手洗いを丁寧に見直すことで、自身や家族の健康を守るスキルが身につきます。
スタッフブログ「手洗い、ちゃんとできていますか?」もあわせてお読みください。
スペシャルムービー:
「手洗いの科学 なぜ手を洗わなければいけないのか」
この動画では、小学生5年生を対象に行われた「手洗い」をテーマにした授業の様子をダイジェストで紹介しています。身近で当たり前に思える手洗いについて、目には見えない微生物や感染の仕組みを知り、実験や問いかけを通して、生徒たちがその意味を科学的に考える機会になりました。知識を一方的に学ぶだけでなく、自ら考え、気づき、理解を深めていくよう組み立てられた授業の様子をご覧下さい。サラヤ社員による出張授業については
リンクをご覧ください。
【Lesson 4:世界とつながる —— 公衆衛生の最前線】
専門家にきいてみた!:
日本ユニセフ協会 大塚まどかさん
世界には、石けんや清潔な水が手に入らないために、救えるはずの命が失われている地域が多くあります。ウガンダなどの支援現場で活動する大塚さんの話を通じて、手洗いの普及がいかに劇的に乳幼児死亡率を改善するのかを学びます。衛生管理が、世界中の子どもたちが生き延びるための最も基本的で重要な「権利」であることを知り、日本での当たり前がいかに尊いものであるかに気づかされます。自分の手洗いが、巡り巡って世界の健康を支える一助となっているという広い視野を育むきっかけになればと思います。
100万人の手洗いプロジェクト
サラヤが2010年からユニセフと協力して、アフリカ・ウガンダで進めている衛生支援活動です。対象となる衛生商品の売り上げの1%を寄付し、手洗い設備の設置や、学校での正しい手洗い教育、地域住民による普及活動などを支援しています。石けんを使った手洗いを習慣にすることで、下痢や肺炎など予防可能な病気から、子どもたちの命を守ることを目指しています。詳しくは
リンクをご覧ください。動画ではサラヤ社が取り組む衛生に関する4つのプロジェクトを紹介しています。
「世界手洗いの日」の特別授業、いかがだったでしょうか。「いのちをつなぐ学校」は、衛生・環境・健康の学びを通じて、誰もがパンデミックに対して冷静に、そして賢明に立ち向かえる社会を目指しています。「正しく知る」ことが、次のパンデミックを乗り越えるための、何よりの備えです。ぜひこの授業を参考に、教室で生徒たちに「手洗い」の意義を伝えていただけたら嬉しいです。